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花粉症の時期に膀胱炎が増える医学的理由

[2026.03.14]

春先、花粉症の症状に悩まされると同時に、なぜか排尿時の違和感や頻尿を感じたことはありませんか?
一見、無関係に思える鼻と膀胱ですが、実は医学的に見て、深い関係があることがわかっています。

今回は、花粉症と膀胱炎の関連性について、エビデンス(科学的根拠)に基づき、医師の視点から分かりやすく解説します。

花粉症薬が引き起こす排出障害と膀胱炎のリスク

花粉症の治療に使われる抗ヒスタミン薬の中には、膀胱に影響を与えるものがあることを知っておく必要があります。

メカニズム

鼻水を止める働きを持つ抗ヒスタミン薬は、副交感神経という、自律神経の一つの働きを抑えます。

この働きを抗コリン作用と呼びます。 正常な状態では、尿が溜まると副交感神経が働き、膀胱の筋肉を収縮させて尿を押し出します。しかし、抗コリン作用のある薬を服用すると、膀胱の筋肉が十分に収縮せず、尿を出しきれなくなる排出障害が起こります。

膀胱炎との関連

尿が完全に排出されず、膀胱内に残ってしまう(残尿)と、その中で細菌が繁殖しやすくなります。これが、細菌性膀胱炎のリスクを高める一因となります。

参考文献:
日本泌尿器科学会編.『排尿障害診療ガイドライン 2015年版』

 

アレルギー反応と間質性膀胱炎の併発

細菌感染ではない、間質性膀胱炎と呼ばれる特殊な膀胱炎があります。激しい頻尿や尿がたまった時の下腹部の痛みが特徴ですが、この間質性膀胱炎の患者さんには、アレルギー疾患を持つ割合が高いという研究結果があります。

アレルギー体質との関連

アレルギー反応に関わるマスト細胞(肥満細胞)は、膀胱の粘膜内にも存在します。花粉症などのアレルギー反応によってマスト細胞が活性化すると、膀胱の粘膜にも炎症が起こり、痛みや過敏症を引き起こす可能性があると考えられています。

参考文献:
Sant GR, Theoharides TC. "The role of the mast cell in interstitial cystitis." Urol Clin North Am. 1994 Nov;21(4):671-80.

花粉症と膀胱炎を併発させないための対策

花粉症の季節に膀胱の調子も悪くならないよう、以下の点に注意しましょう。

  • 薬の相談をする
    花粉症薬を服用してから、尿が出にくい、残尿感があると感じたら、すぐに主治医や薬剤師に相談してください。抗コリン作用の少ない種類の薬や、点鼻薬、点眼薬など、体に負担の少ない治療法への変更を検討できます。

  • 水分を意識して摂る
    花粉症で鼻が詰まっていると、口呼吸になりやすく、体内の水分が失われがちです。脱水は尿を濃縮し、細菌が繁殖しやすい環境を作るため、こまめに水分を摂ることが膀胱炎予防につながります。

  • 衛生的に保つ
    くしゃみによる腹圧で尿漏れを起こしやすくなることもあります。下着を清潔に保つ、頻繁にトイレに行くなど、基本的な衛生管理を怠らないようにしましょう。

最後に

花粉症と膀胱炎、それぞれの症状が辛いだけでなく、お互いが影響し合って悪化することがあります。いつもの花粉症だからとか、単なるおしっこの悩みだからと我慢せず、少しでも違和感を感じたら、医療機関に相談することをお勧めします。

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執筆者情報

日本とドイツの医師免許を持つ脳神経外科医

市村 真也(いちむら しんや)

【保有資格・所属学会】

  • 日本脳神経外科学会専門医
  • 日本脳卒中学会専門医
  • 脊椎脊髄外科専門医
  • 日本脊髄外科学会認定医
  • 日本がん治療認定医
  • 日本神経内視鏡学会技術認定医
  • 日本医師会認定産業医
  • 日本医師会認定健康スポーツ医
  • ドイツ医師資格
  • ドイツ脳神経外科学会正会員
  • ヨーロッパ脳神経外科学会正会員

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