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骨粗鬆症

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骨粗鬆症は全身の骨がもろくなり、骨折しやすい状態に陥る病気です。
原因は骨密度の低下にあります。近年では高齢化に伴い、異常の早期発見に努めるべき重要な課題のひとつとして積極的な検査・受診が推奨されるようになりました。
ご自身だけでは異変に気づくことが大変難しい病気であり、現状を知るためには「骨密度検査」と呼ばれる専用の検査をお受けいただく必要があります。
すでに気になる症状をお感じの場合にはもちろんのこと、ご自身の将来の健康状態を予測する重要なデータのひとつとしても積極的にご活用いただければと思います。

骨粗鬆症が起きるメカニズム

私たちの体の中で骨は日々、破壊(骨吸収)と再生(骨形成)を繰り返しながら新しく作り直されています。
さらに健康で丈夫な骨を作り出すためには、骨吸収と骨形成の働きが絶妙なバランスを保ち続けることが重要となります。
この一連のサイクルに異常やバランスの乱れが生じると、途端に質の悪い骨が作られるようになってしまいます。
これが骨粗鬆症が起きるメカニズムであり、主な要因としては以下のものが考えられています。

加齢による新陳代謝の低下

老化に伴い、新しい骨を作り出そうとする骨芽細胞の働きが鈍化します。
骨を破壊するスピード(骨吸収)が骨を再生するスピード(骨形成)を上回ってしまうことで、強度の不足した弱い骨が作られるようになります。

閉経に伴う女性ホルモンの低下

女性ホルモン(エストロゲン)には骨の再生力(骨形成)を高め、破壊するスピード(骨吸収)を抑え込む働きがあります。
しかし更年期になると女性は閉経を迎えます。
女性ホルモンが急激な低下をみせることで骨粗鬆症も加速し、ちょっとした衝撃に対しても骨折してしまうほど骨がもろくなることがあります。

疾患や薬剤による影響

骨粗鬆症と関係の深い疾患はさまざまありますが、代表的なものとして糖尿病や動脈硬化、甲状腺機能亢進症や慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチや骨形成不全症などが挙げられます。
その他、ステロイド剤など薬物による影響や、偏った生活習慣なども複合的な要因のひとつとして考えられています。

骨密度は一度低下すると元に戻すことは難しい

骨の強度を表す骨密度の数値は、男女ともに20代をピークにその後はゆるやかに低下します。
低下するスピードは個人差が大きいものの、一度悪くしてしまうと残念ながらそれ以上の改善を見込むことは非常に困難になるという現実があります。
加齢による影響は自然な体の変化とも言えますが、現在の骨の状態をどれだけ長く健康的に維持できるかということが治療においては最も注視すべき課題となります。

「いつの間にか骨折」にご注意を!

激しい転倒などしなくとも、骨密度の低下によってご本人も気づかぬうちに骨折していることがあります。
「いつのまにか骨折」というその名前の通り、くしゃみや重いものを持ち上げるなどといった日常生活の中で起きるちょっとした衝撃がきっかけとなって骨折が起きてしまうことがあります。

重篤な骨折を防ぐために―

骨粗鬆症は進行すると自分の体の重みすら支えることができなくなり、重篤な事態を招く危険性が高まります。
背骨や腰骨など特に身体を支えるべき重要な箇所で骨折が起きると、今まで通りの生活を送ることが困難になるだけでなく、精神的にも非常に大きなストレスを抱えることへとつながります。

腰椎圧迫骨折

腰椎は上半身を支え、「立つ」「歩く」「起き上がる」などの日常生活における基本的な動作を行うために不可欠となる場所です。
腰椎内部が骨粗鬆症によってスカスカな状態になると、軽い衝撃によっても骨がグシャっと簡単に潰れやすくなります。
特に腰椎は5つの骨が連なるように構成されているため、次々とドミノ倒しのように骨折が生じやすくなります。
重篤な場合には寝たきりの状態を余儀なくされることがあるため注意が必要となります。

腰椎圧迫骨折について詳しくはこちら

大腿骨頸部骨折

大腿骨とはいわゆる太ももの骨です。
「立つ」「歩く」「座る」といった基本的動作を担う股関節につながる骨となるため、骨折すると歩行困難など日常生活に著しい障害を生じることとなります。
回復にあたっては手術治療や根気強いリハビリが必要となります。

簡単な検査で現在の骨の状態を調べることができます

骨密度検査は一般的な健康診断の項目には入っておらず、ご自身で定期的な確認の機会を意識して設ける必要があります。
特に40代以降の女性におかれましては、気づかぬうちに骨粗鬆症が進行していることがあります。
特に症状をお感じでなくとも、骨密度検査を積極的にお受けいただきたいと思います。

骨密度検査

X線を用いて組織など骨内部の状態を詳しく調べる検査です。痛みもなく、短時間で終了します。
当院では被ばく線量の極めて少ない安心安全な最新鋭の機器を導入しており、さらに4カ月に一度、詳細な骨密度検査を行って異常の早期発見に努めております。

血液検査

骨粗鬆症を引き起こす原因がどこにあるのか、その他に重大な疾患が隠されている可能性はないかを精緻に見極めるために、採血による分析をあわせて実施いたしております。

治療について

内服薬(活性型ビタミンD3製剤)を用いた治療が基本となります。
サプリメントのように毎日続けて服用いただきます。

当院では最新の注射薬イベニティ(ヒト化抗スクレロスチンモノクローナル抗体製剤)を取り扱っております。破骨細胞による骨吸収を抑制し、骨密度を増加させる効果が期待されている新しい薬剤です。

 

市村院長が骨粗鬆症とイベニティ注射薬について講演いたします

注意

同時期に抜歯を伴う歯科治療のご予定がある患者さんにおかれましては、あらかじめその旨を医師にご相談いただいたうえ、治療計画を検討させていただく必要があります。

注射治療とは?

注射器を用いて薬剤を体内に直接投与する治療法となります。
内服薬よりも吸収率が高く、より高い効果の現れが期待できます。
注射治療をご希望の場合には医師と相談のうえ、月に一度程度の通院が必要となります。

食事療法・運動療法と組みあわせた健康的な骨作りを目指して

骨を作るために必要となる主な成分はカルシウム・ビタミンD・ビタミンK・タンパク質などです。
まずは毎日の食事の中にバランス良く取り入れ、過不足なく摂取する意識が大切です。
また、骨は適度な負担をかけることでさらに強くなるという性質を持っています。
適度な運動を取り入れることで骨代謝が活性化します。食事療法と運動療法を基本軸に据えながら健康的な骨作りを目指しましょう。

骨粗鬆症は「予防」の発想を大切に
悪くなるその前に早めの対策が重要です

当院においても骨折を機にご自身が骨粗鬆症であることに初めて気づき、大変なショックを受けられてしまう患者さんが大勢います。
骨粗鬆症による骨折はすでにかなり進行した段階にあり、重大な危機がすぐそばまで迫っている証拠です。
特に女性は閉経が骨粗鬆症を加速させる大きな要因となるため、まずはご自身の現在の骨の健康状態を正しく知る努力が必要となります。
老化は私たち人間には避けられない現実です。
だからこそ早期に異変に気づくきっかけ作りを皆様にはぜひ強く意識していただきたいと切に願います。

骨密度検査は痛みや体に負担のかからない検査となります。
一人でも多くの方に骨密度検査の重要性をご理解いただけたらと思います。

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