フレイルとサルコペニア
フレイルとサルコペニアの違い
フレイルは、心身の活力が低下した「虚弱状態」全般を指す広範な概念で、身体的だけでなく精神的・社会的な衰弱も含まれます。
一方、サルコペニアは、そのフレイルの一要素であり、筋肉量と筋力の低下に特化した病態を指します。
つまり、サルコペニアはフレイルの身体的な部分に該当する、より限定的な概念です。
フレイルとは
フレイルとは、加齢などによって心身の活力(筋力、認知機能、社会とのつながりなど)が低下した状態で、健康な状態と要介護状態のちょうど中間に位置する、いわば「介護が必要になる一歩手前の状態」です。
適切な対策を取ることで、進行を抑制したり、健康な状態に戻ったりすることも可能な状態です。
フレイルは大きく3つの要素で構成されます
体重減少、疲労感、活動量の低下、歩行速度の低下、握力の低下などが主な症状です。原因としては、低栄養や身体活動の低下が挙げられます。
フレイルを構成する3つの要素
フレイルの状態から要介護状態への進行リスク
フレイルが進行すると、転倒や骨折のリスクが高まります。
また、何らかの病気にかかりやすくなったり、入院につながったりするなど、ストレスへの抵抗力が低下した状態になります。
フレイルの予防と対策
リハビリブログ:猛暑にこそ気をつけたい「フレイル」 夏を乗り切るリハビリテーション
サルコペニアとは
サルコペニアとは、加齢や活動不足などによって全身の筋肉量と筋力が低下し、身体能力が落ちる病態です。
骨格筋量の低下は25~30歳頃から始まり、生涯を通して進行します。
サルコペニアの主な要因は加齢ですが、活動不足や疾患、栄養不良が危険因子です。
サルコペニアになると、抗重力筋(広背筋・腹筋・膝伸筋群・臀筋群など)の低下が起こるため、立ち上がりがうまくいかなかったり歩行速度の低下や頻繁な転倒、日常生活動作の困難化といった症状が現れます。放置すると歩行困難にもなってしまうことから、高齢者の活動能力の低下の大きな原因となっています。要介護状態になるリスクや、骨折・重症疾患へのつながりも指摘されています。
予防には、タンパク質摂取などの栄養療法と筋力トレーニングを中心とした運動療法が重要です。
特に運動習慣ならびに豊富な身体活動量は、サルコペニアの発症を予防する可能性があり、特にレジスタンス運動(いわゆる筋トレ)が有用と考えられています。このような運動には、日常生活での基本的な動作能力の改善や転倒予防といった効果も示されています。
栄養摂取と運動は、それぞれ単独よりも、両者を併用で実践することがより効果的です。

