運動器エコー(超音波)検査/ハイドロリリース
当院ではエコー検査・ハイドロリリースは予約なしでも行うことができます。
エコー検査とは
エコー検査は、診断のために超音波を使用して身体内部の組織や臓器を観察する検査方法です。
超音波は高周波音波の一種で、体内の組織や臓器に送られ、その反射(エコー)が検査装置によって捉えられ、画像化されます。レントゲンやCTと比較して被爆のリスクがないため、安全性が高い検査です。
整形外科のエコーでは骨・軟部組織の状態の評価ができます。
膝関節内に水が溜まっているか、腱板(肩の筋肉)が切れているか、など、エコーを当てて調べることができます。
整形外科では変形性膝関節症や肩関節周囲炎(五十肩)の治療の際に注射を使用することが多いですが、エコーを使用すれば薬液を入れたい部位にピンポイントで入れるのも容易です。
患者さんと一緒に画像を見ながらリアルタイムに状態の説明ができるため、満足度も高い検査になります。
当院では運動器エコーを用いた治療も積極的に行なっています。
ハイドロリリース
エコー装置を用いて痛みの原因の部位に注射をする治療法です。
整骨院などで筋膜リリース、筋膜の癒着を剥がす、と言った言葉が使われていますが、医師の行うハイドロリリースでは、注射で筋膜や神経に注射をします。
エコーで確認すると、痛みの発生源の部位では組織が癒着して滑走性が悪くなり、白く厚く見えます。(これを重積と言います)ハイドロリリースは、筋膜の重積部位や神経周囲に薬液を注入して癒着を剥離(リリース)し、可動性の悪い筋膜や末梢神経の滑走性を改善することで痛みや痺れを軽減させます。
普通の注射と何が違うのか?
整形外科の外来では、押して痛みのある部位に局所麻酔薬などを注入する方法(トリガーポイント注射)が頻繁に行われてきました。しかし注射を打つ深さについては調整が難しく、効果にばらつきが出ることが多くありました。エコー装置を併用することで、目的の深さ・部位に注射することが可能になります。また血管や神経を避けて注射することができ、より安全性が高まりました。
中心に首の横にある筋肉、周囲には神経、下方には動脈があるのが確認できます。
ハイドロリリースの主な適応疾患と効果
疾患 |
効果 |
肩こり |
肩の動きが軽くなる |
五十肩 |
可動域が改善する、痛みが軽くなる ※可動域制限が著明な場合はサイレントマニュピレーションが良い |
腰痛(筋筋膜性) |
動作時の痛みが改善する |
頸部痛、寝違え |
頸部痛、頭痛が軽くなる |
肘部菅症候群/手根管症候群 |
痛みが改善する、痺れが和らぐ |
痛みやこりの原因である部位にピンポイントで薬液が入ると、注射後直ぐに症状が改善することも多くあります。
いずれの疾患も、リハビリとの併用をお勧めします。慢性的に症状がある方は日常生活で筋肉に負担がかかりやすい仕事をされてる方や癖のある姿勢の方、また周囲の筋肉が弱っている方が多く、1度リリースをしても症状が再度起こってしまうことがよくあります。原因となる筋肉の負担を減らし、姿勢改善を行うためにリハビリが有効で、その効果を補うように定期的にハイドロリリースを併用することをお勧めします。
薬液の内容
生理食塩水に、少量の麻酔薬を混ぜたものを注射します。
局所麻酔アレルギーや、麻酔薬に抵抗のある方、妊娠中の方などは自由診療で生理食塩水のみの注射を行うことも可能です。
ハイドロリリース症例一覧
Case1:20 代 男性 草野球のピッチャー、投球時に肩関節後方の痛み
CAT(Combined Abduction Test),HFT(Horizontal Flexion Test)陽性で、QLSの圧痛がありました。
QLS(四辺形間隙)には腋窩神経が通っており、この神経が周囲の筋肉の緊張や投球フォームの異常により絞扼されると痛み症状が出ます。
腋窩神経にハイドロリリースを行うと、HFTによる痛み症状はなくなり、症状も軽快しました。
一時的に腋窩神経の絞扼が解除されますが、その効果は一時的ですので、周囲のリラクゼーションや投球フォームの改善を行い根本治療を行いました。