脳梗塞と高血圧
高血圧が脳梗塞の最大の原因
高血圧は自覚症状に乏しく、いつの間にか高血圧になっていたという場合がほとんどです。また、日本人の場合、高血圧患者の約90%が、原因がはっきりとは分からない、本態性高血圧というものです。ただし、原因がはっきりとは分からないとは言っても、高血圧になりやすい人はいます。塩分の摂り過ぎ、過度の飲酒癖、喫煙、肥満、運動不足の人たちです。そのほかにも過労やストレス、睡眠不足が上げられます。
脳梗塞の原因ですが、「動脈硬化」が関係しています。
動脈硬化とは、動脈の血管の内側にコレステロールなどの脂質や細胞が付着することで、血管が厚く硬くなり、血液が流れる空間が狭くなってしまう症状です。
そして動脈硬化を起こしたり悪化させる大きな要因は、生活習慣病である「高血圧」です。
高血圧は、血液が流れるときに動脈の血管に加わる圧力が異常に高くなってしまう状態。動脈は強い圧力を受け続けることで、内側の壁が傷つき、硬くなってしまい、動脈硬化になります。
高血圧が長く続くと、動脈硬化が進行し、やがて脳の血管が詰まって脳梗塞になります。
理事長Dr.市村がテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」にスタジオ生出演し、熱中症との梗塞について解説しました
高血圧の治療と予防
高血圧の治療には、薬物療法以外に、食事療法、運動療法があります。
①食事療法
食事療法でまず気をつけなければならないことは「減塩」です。
日本食は塩分が多いので、食塩の1日あたりの平均摂取量10g未満を目標とされていますが、理想としては6、7gをめざしたいところです。現在の日本人の平均的摂取量は一日13gほどと言われていますから、およそ半分に減らす必要があるということになります。
②運動療法
酸素をたくさん使う有酸素運動は、長期間続けることで血圧を下げる作用があることが知られています。ウォーキングや無理のない程度のジョギング、水泳といった運動がおすすめです。
③薬物療法
現在では高血圧に対する降圧剤はいい薬剤がたくさんあるために、きちんと医療機関に定期的に通院していただければ血圧は下げることができると考えています。
当院では
- アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)
- カルシウム拮抗薬(Caブロッカー)
- ARNI
の3種の薬剤を主に使用しています。
これらの薬剤は副作用も少なく、確実に血圧を下げることができます。
最近では「保険適応の高血圧治療補助アプリ」という最新の治療も行っています。これは薬剤を使用せずにアプリで生活習慣を改善しながら血圧を下げる治療法です。
動脈硬化を防ぐために
脳梗塞の直接的な原因となる動脈硬化を防ぐためには高血圧を含めた生活習慣病を予防することが重要です。動脈硬化は目で直接見えるものではないので、頚動脈エコーと動脈硬化検査(ABI)にて動脈硬化を評価しています。