花粉症シーズンに血圧が上がる?鼻炎と高血圧
春先になるとくしゃみや鼻水とともに、最近血圧が高いなと感じることはありませんか?
実は、花粉症の症状やその治療薬は、血圧のコントロールに少なからず影響を与えます。
高血圧を治療中の方や、血圧が高めと言われたことがある方にとって、この時期をいかに健康に乗り切るかは非常に重要です。医学的な背景をもとに、注意すべきポイントをわかりやすく解説します。
1. なぜ花粉症で血圧が変動するのか?
花粉症による身体的なストレスは、自律神経に大きな影響を与えます。
特に鼻詰まりは深刻で、鼻で息がしづらくなると、睡眠の質が著しく低下します。
睡眠不足や夜間の無呼吸状態は、交感神経を過剰に刺激し、血管を収縮させて血圧を押し上げる原因となります。
また、絶え間ないくしゃみや目のかゆみ自体がストレスとなり、体内で血圧を上げるホルモン(アドレナリンなど)の分泌を促してしまうことも、数値が不安定になる一因です。
2. 花粉症薬と降圧薬の飲み合わせに注意
花粉症の治療に使われる薬の中には、血圧に影響を及ぼす成分が含まれていることがあります。
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血管収縮薬(点鼻薬・内服薬)
市販の鼻炎薬によく含まれる塩酸プソイドエフェドリンや点鼻薬のナファゾリンなどは、鼻粘膜の腫れを引かせるために血管を収縮させます。しかし、これが全身の血管に作用すると血圧を上昇させる可能性があるため、高血圧の方は特に成分の確認が必要です。 -
漢方薬(小青竜湯など)
花粉症によく使われる小青竜湯などには甘草という生薬が含まれていることが多いです。これを過剰に摂取したり長期連用したりすると、偽アルドステロン症という副作用を引き起こし、血圧上昇やむくみを招くことがあります。 -
抗ヒスタミン薬と眠気
眠気の強いタイプのアレルギー薬は、日中の活動量を低下させます。運動不足は長期的には血圧管理にマイナスとなるため、血圧への影響が少なく、眠気の出にくい第2世代抗ヒスタミン薬を選択することが推奨されます。
3. 血圧を安定させるための生活のヒント
花粉症シーズンでも血圧を安定させるために、以下の3点を意識してみましょう。
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お薬手帳で情報を共有する
受診する際は、必ず現在飲んでいる血圧の薬を医師や薬剤師に伝えてください。血圧に影響しにくいアレルギー薬(ステロイド点鼻薬など)を適切に処方してもらうことが大切です。 -
減塩とカリウム摂取を継続する
花粉症の時期は外出が億劫になり、加工食品などの食事が簡便なものに偏りがちです。塩分の摂りすぎに注意し、野菜や果物からカリウムを摂るなど、基本の食事療法を崩さないようにしましょう。 -
室内環境を整えて鼻呼吸を守る
空気清浄機の活用や、こまめな拭き掃除で室内の花粉を減らしましょう。鼻の通りを良くして質の高い睡眠を確保することは、立派な高血圧対策になります。
最後に
花粉症による炎症やストレス、そして薬の影響は、血圧の数値に現れます。
たかが鼻炎と放置せず、適切な対策をとることで、血管への負担を減らすことができます。
もし、この時期に血圧の数値がいつもより高い状態が続く場合は、自己判断で薬を調整せず、必ず主治医にご相談ください。
執筆者情報
日本とドイツの医師免許を持つ脳神経外科医
市村 真也(いちむら しんや)
- 医療法人慶真会 川崎中央クリニック院長/横浜フロント脳神経外科・泌尿器科理事長
- 開成高校卒・慶應義塾大学医学部卒
- 脳神経外科専門医・医学博士
- 月9ドラマ「ヤンドク!」脳外科医療指導
- テレビ出演多数
- 小橋建太プロデュースFORTUNE DREAMのリングドクター
【保有資格・所属学会】
- 日本脳神経外科学会専門医
- 日本脳卒中学会専門医
- 脊椎脊髄外科専門医
- 日本脊髄外科学会認定医
- 日本がん治療認定医
- 日本神経内視鏡学会技術認定医
- 日本医師会認定産業医
- 日本医師会認定健康スポーツ医
- ドイツ医師資格
- ドイツ脳神経外科学会正会員
- ヨーロッパ脳神経外科学会正会員

