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心不全

「心不全」とは心臓に関するさまざまな疾患や要因が複合的に絡みあった末に起きる最終段階となります

心臓は全身へ血液を送るポンプの役割を担っています。心不全とはまさにそのポンプの機能が低下し、十分な血液を送り出せなくなってしまった状態を指します。その結果、全身のさまざまな臓器に深刻な影響を及ぼし、呼吸困難やむくみ、動悸や疲労感を伴う症状や、最悪の場合には突然死を招く危険があります。

心臓が機能低下を起こすメカニズムとは

心臓は拡張と収縮を繰り返すことで全身に血液を巡らせています。特に心臓が硬くなるとその動きを十分に果たせなくなってしまいます。心臓が収縮する動きができなくなってしまう異常を「収縮機能不全」、反対に大きく広げることができなくなることを「拡張機能不全」と呼びます。一昔前までは収縮不全で亡くなられる患者さんのほうが圧倒的に多いとされていましたが、近年ではさまざまな研究が進み、高齢化・肥満・生活習慣病の増加などによって拡張不全を生じて亡くなられるケースが半数以上にものぼると推測されています。

収縮機能不全

心臓の収縮する力が弱まると、全身から心臓に戻ってくる血液を外に向けて再び送り出すことができなくなってしまいます。心臓の心室部分には全身から集められた多量の血液が貯留することとなり、次第に肺や静脈内部にも血液があふれ出し溜まってゆきます。その結果、胸に強い痛みを感じたり手足や顔にむくみ(浮腫)の異常がみられるようになります。収縮機能不全を引き起こすメカニズムとしては高血圧糖尿病、高コレステロール血症や肥満などといった生活習慣病による影響をはじめ、近年では更年期などのホルモンバランスの低下から病態発症を起こすのではないかといった仮説に基づいた研究も進んでいます。当院においても実際に収縮機能不全を患われる患者さんを分析すると、生活習慣病をお持ちの似通ったバックグラウンドを持たれる方々に共通して起こりやすいことがわかります。

拡張機能不全

心臓を広げる力が弱まると、血液を取り込む機能も弱まります。拡張不全は一見すると何ら問題なく動いているように見えるうえに、患者さんご自身にとっても異常をそれほど感じられないのが特徴です。ともすると問題を見逃しやすい状況にはなりますが、心臓の硬さなどを調べれば異常の早期発見は可能となります。医療の進化とともに診断精度もますます向上してきており、早期に異常を見つけ、適切な治療に結びつけるための体制作りが徐々に整いつつあります。拡張機能不全の診断には、まずは詳細な各種検査を加えることが必要となります。

心不全によって起きるさまざまな症状

心臓のポンプ機能が低下することによって起きる症状

動悸・息切れ・疲れやすさ・低血圧・尿が少なくなる・手足の先が冷える・肌の色が悪くなる・不眠 など

肺に血液が溜まることによって起きるもの

息苦しさ・胸の痛み・咳・食欲不振・消化器官のトラブル・むくみ・体重増加・腹部が大きく膨らむ など

症状の感じ方は人によってさまざまです。
無症状ながらも最悪の場合には突然死に至るケースも珍しくありません。

心不全のはじまりは無症状です。病気の進行に伴って徐々に息苦しさや下肢にむくみが現れることで異変に気づかれる方は増えてゆきますが、初期の段階でも軽症で済む場合もあれば突然死に至るほどの急激な悪化をたどる方も珍しくないほど症状の現れ方は千差万別です。急性心不全を経験された患者さんの分析においても、実際にご自身が高血圧や心臓病を患っていたことに全く気づいてていなかった方は大変多くみられます。何よりも早期に異常に気づける体制作りを心がけ、異常があれば適切な治療をすぐに開始できることがご自身の命を守るためには何よりも大切なこととなります。

急性心不全

心臓のポンプ機能が何らかの原因によって急激に低下することによって、十分な血液循環が維持できない状態となります。溜まった血液によりうっ血した状態が短期間のうちに重なることで容態が急激に悪化します。顔面蒼白で激しい呼吸困難や咳き込みが起き、皮膚や粘膜部などが次第に青紫色に変色するチアノーゼがみられ、意識障害が起きることもあります。急性心不全を引き起こすものの最多は心筋梗塞などの虚血性心疾患ですが、慢性心不全からの急激な悪化によって起きるケースも多いです。

慢性心不全

高齢化や高血圧などの生活習慣病による影響によって、心臓のポンプ機能が長い期間をかけて徐々に低下していきます。階段の昇り降りや坂道程度の歩行でも息苦しさや動悸を感じることが特徴的で、たびたび急性症状を繰り返される方も多いです。心臓エコー検査や胸部X線、心電図や血液検査を用いた詳細な分析を加えることで異常を早期に見つけ出すことは可能です。軽症でも心不全と診断された場合には、専門医による治療に徹底して取り組むことが必須となります。

はじまりは無症状だから-
ご自身で積極的に検査機会を設けることを意識して

「心不全」は病名ではありません。心筋梗塞や心臓弁膜症、心筋症などといったさまざまな心臓に関する基礎疾患に加えて、高血圧をはじめとするさらに心臓機能に過度な負荷をかけるような要因が複雑に絡みあった末に起きる最終段階ともいえる症候群です。そのため、ご自身で明らかな異常を感じ始めた頃にはすでにかなり進行した状態にあり、原因となるものを完全に取り去ることは非常に難しい問題となります。ただし、心不全も近年では早期であれば改善に導くための治療法はずいぶんと研究開発が進み、目まぐるしい進化を遂げています。適切な治療を一刻も早く開始することができれば、延命できる可能性も大きく広がります。

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