お酒を減らしたいならコーヒーが相棒!医師が教える、肝臓を守りながら取り組む賢い減酒術
お酒を控えなきゃと思っていても、仕事終わりの一杯や晩酌の習慣を変えるのは難しいものです。そこで注目されているのがコーヒーの存在です。
実は、コーヒーを飲む習慣がアルコールによる健康被害を抑えたり、お酒の量を減らすきっかけになったりすることが、近年の研究で明らかになってきています。
今回は、医師の視点から減酒とコーヒーの相乗効果について解説します。
なぜコーヒーが減酒の味方になるのか?
コーヒーがお酒の代わりや、体のケアに役立つ理由は主に3つあります。
1. 肝臓を保護する守護神としての働き
アルコールの過剰摂取が肝臓に負担をかけることはよく知られていますが、コーヒーに含まれるポリフェノール(クロロゲン酸など)には、肝臓の炎症を抑え、線維化(硬くなること)を防ぐ効果があるという報告が多数あります。
【参考文献】世界保健機関(WHO)の外部組織である国際がん研究機関(IARC)の報告や、多くのメタ解析において、コーヒー摂取が肝硬変や肝がんのリスクを下げることが示唆されています。
2. ドーパミンによる満足感の代替
お酒を飲むと、脳内で快楽物質ドーパミンが放出されます。
コーヒーに含まれるカフェインにも、マイルドにドーパミン系を刺激する働きがあります。
夕食後や晩酌したくなったタイミングで、風味豊かなコーヒーをゆっくり味わうことで、脳が報酬(ご褒美)を受け取ったと勘違いし、アルコールへの渇望が和らぐことがあります。
3. 飲み方の癖を上書きする
帰宅したらまずビールというルーティンがある場合、その初動をこだわりのコーヒーを淹れるという新しい儀式に置き換える(代替行動療法)ことが、減酒成功の鍵となります。
効果的なコーヒー減酒のコツ
ただ飲むだけでなく、以下のポイントを意識するとより効果的です。
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ノンカフェイン(デカフェ)」を賢く使う
夜にお酒の代わりにコーヒーを飲む場合、通常のコーヒーだとカフェインで眠れなくなる恐れがあります。睡眠不足は自制心を低下させ、翌日のお酒の欲求を強めてしまいます。夕方以降はデカフェを選びましょう。 -
香りを主役にする
減酒中の脳は刺激を求めています。インスタントよりも、豆を挽いたりドリップしたりして「香り」を強く感じることで、リラックス効果が高まり、飲酒欲求を抑えやすくなります。 -
ブラック、または少量のミルクで
砂糖をたっぷり入れると、今度は糖分の依存が始まってしまいます。肝臓へのメリットを最大化するためにも、なるべく無糖で楽しみましょう。
コーヒーは万能薬ではない
非常に優れた効果を持つコーヒーですが、いくつか注意が必要です。
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すでに肝疾患がある方
病状によってはカフェインの代謝が落ちている場合があります。必ず主治医に相談してください。 -
胃腸への刺激
お酒で胃が荒れている時に濃いコーヒーを飲むと、症状を悪化させることがあります。
最後に
減酒は我慢だけでは続きません。コーヒーという新しい相棒を味方につけて、体の内側からケアしながら、少しずつお酒と良い距離感を作っていきましょう。
日本国内の大規模な多目的コホート研究(JPHC Study)においても、コーヒー摂取が肝がん発生リスクを低下させることが報告されています。これは、コーヒーに含まれる抗酸化物質が、アルコール由来の酸化ストレスを軽減するためと考えられています。
お酒をゼロにする必要はありません。まずは一杯をコーヒーに置き換えることが数年後の肝臓を守ることにつながります。
執筆者情報
日本とドイツの医師免許を持つ脳神経外科医
市村 真也(いちむら しんや)
- 医療法人慶真会 川崎中央クリニック院長/横浜フロント脳神経外科・泌尿器科理事長
- 開成高校卒・慶應義塾大学医学部卒
- 脳神経外科専門医・医学博士
- 月9ドラマ「ヤンドク!」脳外科医療指導
- テレビ出演多数
- プロレスラー小橋建太プロデュースFORTUNE DREAMのリングドクター
【保有資格・所属学会】
- 日本脳神経外科学会専門医
- 日本脳卒中学会専門医
- 脊椎脊髄外科専門医
- 日本脊髄外科学会認定医
- 日本がん治療認定医
- 日本神経内視鏡学会技術認定医
- 日本医師会認定産業医
- 日本医師会認定健康スポーツ医
- ドイツ医師資格
- ドイツ脳神経外科学会正会員
- ヨーロッパ脳神経外科学会正会員

