【理学療法士監修】整形外科手術後のリハビリはなぜ必要?
退院後こそが本当の回復のスタートです
はじめに
「手術は終わったので、もう安心ですよね?」
結論から言うと
手術だけでは“元の生活”には戻りません。
現在の医療では、入院期間が短縮されており、
退院後のリハビリの質と継続が回復を大きく左右します。
本記事では、理学療法士の専門的視点から
「術後リハビリの必要性」と「最近の医療の課題」をわかりやすく解説します。
手術後にリハビリが必要な3つの理由
① 手術は「構造」を治すものであり、「動き」は戻らない
手術では
- 骨の固定
- 人工関節の挿入
- 靭帯の再建
などを行いますが、
- 筋力
- 関節の動き(可動域)
- 協調性
は自然には回復しません。 動ける身体を取り戻すためにリハビリが必要です。
② 筋力低下・関節拘縮(廃用症候群)の予防
術後は安静期間により
- 筋力が急激に低下
- 関節が固まる
- 歩行能力が低下 します。
研究では
早期リハビリにより機能回復が促進されることが示されています(Masaracchio et al., 2017)
③ 合併症の予防(命を守る役割)
リハビリには以下の予防効果もあります
- 深部静脈血栓症
- 肺炎
- 転倒
リハビリは単なる運動ではなく“治療”です。
【重要】入院期間は年々短くなっています
現在の医療制度(DPC制度)では早期退院が推奨されています。
その結果
- 手術後すぐに退院
- 回復途中で自宅へ
というケースが増えています。
在院日数短縮による問題点
① リハビリが不十分なまま退院
本来必要とされる回復期間に対して 十分なリハビリが行われないまま退院となるケースが増えています。
② 「生活できるレベル」に達していない
病院では
• 歩ける
• トイレに行ける
で退院可能となりますが、
自宅では
- 段差
- 家事
- 仕事復帰
が求められます。
「できる」と「生活できる」は別問題です。
③ 再発・再手術リスクの増加
リハビリ不足により
• 関節の可動域制限
• 筋力不足
• 動作不良 が残ると
再受傷・再手術のリスクが高まります。
退院後もリハビリがとても重要です
現在の医療では
入院中:回復の準備
退院後:本格的な回復期
となっています。
当院でのリハビリの特徴
川崎中央クリニックでは、術後の患者さまに対して以下を重視しています。
退院直後からの継続的リハビリ
空白期間を作らず回復を最大化
個別プログラムの作成
- 手術内容
- 年齢
- 生活環境
に合わせたリハビリを提供
自宅での運動指導
通院時だけでなく日常生活の中で回復できるプログラム
社会復帰までサポート
- 仕事復帰
- スポーツ復帰
まで見据えた支援
まとめ
整形外科手術後の回復は手術だけでは不十分です
特に現在は
- 在院日数の短縮
- 高齢化
- 早期社会復帰の必要性
により退院後リハビリの重要性がますます高まっています。
最後に(患者さまへ)
「もう少し良くなりたい」
「元の生活に戻りたい」
そう感じている方はリハビリの継続が最も重要です。
お気軽にご相談ください。
参考文献
- Masaracchio M, et al.
Timing of rehabilitation after total hip or knee arthroplasty
PLoS One. 2017 - リハビリテーション介入と在院日数短縮 倉林均 他
- 医療制度と在院日数の推移 厚生労働統計協会
- 急性期リハビリテーションの重要性 日本理学療法士協会
執筆者情報
医療法人慶真会 川崎中央クリニック 理学療法士
- 東京都立大学(旧:首都大学東京)卒業
- 理学療法士(国家資格)
- 臨床経験 17年
- 延べ担当患者数 5万人以上
脳血管リハビリ(脳梗塞・脳出血)および運動器リハビリ(整形外科疾患)を中心に、入院・外来・訪問リハビリすべての領域で経験を有する。
急性期後から在宅復帰まで一貫したリハビリ支援を行っている。

