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特発性正常圧水頭症に対するVPシャント術が「脳神経外科速報」に掲載されました

[2022.11.09]

磁場式ナビゲーションシステムを使用した直接後角穿刺によるVPシャント

特発性正常圧水頭症に対する私のこだわりが詰まった手術方法の記事が「脳神経外科速報2022年6号」に掲載されました

「脳神経外科速報」さんにはいつもお世話になっております

 

後角穿刺のメリットを生かす手術

特発性正常圧水頭症の手術は頭(脳室)とお腹(腹腔)にカテーテルを挿入し脳脊髄液を流すVPシャントという手術が一般的に行われます。この手術では前角穿刺といって頭の前のほうからカテーテルを挿入するが多いのですが、これは前角穿刺が脳室へチューブを挿入するのが簡単だからです。しかし、腹部からの距離が長くなってしまうために中継点が必要になってしまいます。一方、頭の後ろから挿入する後角穿刺では脳室へのカテーテルの挿入が前角穿刺に比べると少し難しくなりますが中継点が必要ないというメリットがあります。

私は後角穿刺のデメリットを克服し、メリットを最大限に生かす手術方法を考え記事にまとめました。

 

磁場式ナビゲーションを使用する

脳室カテーテルを確実に挿入するために、一般的にはVPシャントでは使わないナビゲーションシステムを使用しています。これは車のカーナビと同じようなもので、手術前に撮影したCTやMRIを地図にして手術中に自分がどこにいるかをリアルタイムにわかることができる器械です。さらに私が使っているのは頭をピンで固定する必要がない磁場式ナビゲーションという最新鋭の器械です。これにより、患者さんの体に余計な負担をかけることなくナビゲーションを使用できます。

 

直接脳室穿刺して脳室カテーテルを留置する

一般的なVPシャントでは脳室穿刺針と呼ばれる大きな針で脳室までのルートを作成した後に脳室カテーテルを挿入しますが、このやり方だと2回の操作が必要で、さらに正確に脳室カテーテルが留置できないことがあります。今回の手術法では磁場式スタイレットを使用し1回で正確に脳室カテーテルを留置できます。

術後の整容にもこだわります

私が使用しているB.BRAUN AESCULAP社のシャントシステムを愛用しております。このシャントシステムは簡便にシャント圧を変更でき、またMRIを撮影することができるからです。また薄くて平べったいので皮膚に出っ張ることもなく見た目に(整容的に)非常に優れています。

 

特発性正常圧水頭症は見逃されていることがあります

私が何よりも強調したいのは「特発性正常圧水頭症は見逃されていて診断がついていないことが多い」ということです。特発性性常圧水頭症の3つの特徴的な症状は歩行障害、認知機能、尿失禁です。この中で一番初めに出る症状が歩行障害ですが他医療機関を受診しても見逃されて歩行障害の原因がわからず、転倒の際に頭部を打撲し当院を受診し特発性性常圧水頭症と診断をされこの手術を受けられる患者さんがいらっしゃいます。

当院ではCTやMRIの特別な撮影で特発性性常圧水頭症を見逃さないように気を付けて診察しております。
歩き方が最近おかしいなとか認知機能が悪くなってきたなと感じることが多くなったらご相談ください。

 

 

 

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