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症状改善を目的とした脳幹部出血病変に対する手術とアプローチ選択の戦略

[2021.11.09]

脳神経外科速報に掲載されました

メディカ出版の脳神経外科速報2021年6号に記事が掲載されました。テーマは生涯のライフワークとしている脳幹部手術に関するものです。

 

 

私はドイツで学んだ脳幹部手術を日本で実践し、その経験をいままで英文論文として発表してきました。今回の記事はこれらの英文論文4本のエッセンスを凝縮して日本語にしたものです。英文論文ではなかなか日本国内で読まれる機会が少なく自分の考えがなかなか伝わらないので、最近は日本語の記事に力を入れてます。

院長の学術的業績 

 

今回も脳神経外科医かつファッションデザイナーであるDr.まあやにイラストを描いてもらいました。最近では頭蓋矯正ヘルメット治療「アイメット」の卒業グッズをプロデュースして頂きました。彼女は慶應義塾大学医学部脳神経外科学教室の先輩で、若かりし頃に出張した病院も同じだったこともあり仲良くさせていただいております。

脳幹部海綿状血管腫へのアプローチの選択の戦略

今回もDr.maayaのサインが入っています

 

 

Dr.まあやの池袋西武百貨店の展示会にやって来ました。

2021/11/16まで西武池袋本店3F中央にて絶賛出展中 

 

脳幹部出血性病変への手術と戦略

私の脳幹部手術の経験は10件になりましたので、この機会に日本語でまとめました。硬膜下からの中頭蓋窩法(横から)と半坐位法(後ろから)という私がドイツで修得した2つの手術法を用いて脳幹部出血性病変にアプローチしております。

硬膜下の中頭蓋窩法はドイツのシャリテ・ベルリン医科大学のバイコッチ―教授から学んだ手術法です。私はもともと慶應義塾大学にて「Kawaseのアプローチ」を考案した河瀬斌教授のもとでオリジナルの硬膜外からのアプローチを学びました。そのために「頭蓋底手術は硬膜外から行うものだ」という既成概念がありました。ところが、シャリテのバイコッチ―教授はこの手術法を硬膜下で行っているのを見て、天と地がひっくり返るような衝撃を受けました。そしてバイコッチ―教授に手術法の論文を是非とも私に書かせてくれてと直訴しました。バイコッチ―教授も河瀬教授のセミナーでこの手術を学び、そして応用したという経緯もあり、河瀬教授の直弟子である私にならとこのテーマを頂きました。

半坐位法はドイツのハノーファーにあるInternational Neuroscience Institute Hannover (INI、イニー)でサミー教授やベルタランフィー教授といった世界的な脳神経外科の巨匠から直に学んだ手術法です。日本ではすっかり廃れてしまった坐位法をドイツで洗練された半坐位法という形で蘇らせ、帰国後に日本でも実践していきました。特に脳幹部手術ではこの半坐位法は絶大に力を発揮します。手術法選択の戦略はベルタランフィー教授から学んだコンセプトを忠実に守っています。特に橋部の病変に対しては最近ベルタランフィー教授からJNSに論文が出ました。私も第2著者として名前を連ねさせていただいています。

 

シンプルかつダイレクトな手術を心掛けて

私も若いころは「長くて難解な手術ほどいい手術だ」と考えていましたが、ドイツ臨床留学を経てからはシンプルかつダイレクトで短時間の手術を心掛けております。ドイツの巨匠たちの手術はいずれも日本の常識では考えられないほどにシンプルかつ短時間で治療成績は極めて良好でした。私も帰国後はどんなに難しい手術でも日中には終わるようになりました。この記事を通じて、若い脳神経外科医に自分の経験を伝えられれば幸いです。

Intradural combined transpetrosal approach for primary pontine hemorrhage. World Neurosurg. 2019  

Surgical Treatment for Primary Brainstem Hemorrhage to Improve Postoperative Functional Outcomes. World Neurosurg. 2018  

Improvement of Respiratory Depression in a Patient with Primary Medullary Hemorrhage Following Removal of Hematoma in the Half-sitting Position. J Neurol Surg A Cent Eur Neurosurg. 2018  

 

Intradural anterior transpetrosal approach. Neurosurg Rev. 2016  

 

 

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