ヤンドク!の手術を脳外科医療指導医が解説
⑤内頚動脈狭窄症に対する頚動脈内膜剥離術(CEA)(第4話)
今回の手術は脳神経外科と心臓外科の合同手術でしたが、私の担当は脳神経外科手術だけでしたので、湖音波先生の行った手術だけを解説します。
内頚動脈狭窄症の手術適応と治療法
脳卒中学会専門医の立場としてこの手術を解説します。
第1話でも内頚動脈狭窄症が出てきましたが、頚動脈分岐部が人間の体の中でも最も動脈硬化の影響を受けやすく、詰まりやすい場所であります。
①内頚動脈狭窄症に対する頚動脈ステント留置術(CAS)(第1話)
しかし、脳神経外科医はただ内頚動脈が狭窄しているだけですべての患者さんを手術をしているわけではありません。
NASCET法という名前の測定法で脳梗塞などを起こした症候性であれば70%以上、無症候性であれば80%以上の狭窄を認める場合に外科的治療の考慮します。
今回はNASCET法で症候性の70%の狭窄なので手術適応ありです。
外科的手術はカテーテルで治療する頚動脈ステント留置術(CAS)と頚動脈内膜剥離術(CEA)があります。
カテーテルの治療か手術かどちらが優れていると一概には言えず、患者さん一人ひとりの状態に合わせて最適な治療法(CEAかCASか)を選択することが重要です。
今回は湖音波先生は頚動脈内膜剥離術を選択しています。
内頚動脈狭窄症に対する頚動脈内膜剥離術(CEA)
頚動脈内膜剥離術は、頚動脈に溜まった動脈硬化のプラークを、血管を切開して直接取り除く外科手術です。
手術は全身麻酔で行われ、頚部の皮膚を数センチ切開し頸動脈を露出させた後に頚動脈の血流を一時止めます。
顕微鏡を使いながら血管を切開し、動脈を狭くしている原因であるプラークを頚動脈の内膜という一番内側の膜ごと摘出する手術です。
今回は使用しませんでしたが、脳への血流維持のため、バイパスチューブが挿入されることもあります。
プラークを除去後、血管を丁寧に縫合します。
CEAが制限時間内に終わった後の湖音波先生の「脳外も心外も関係ない。一緒にオペやってんなら見届けるのが筋っす」のセリフは現場で見ていて魂が震えるほど感動していました。
夜通しオペをやって、日が昇る頃に湖音波先生と神崎先生が食事を食べるのも外科医らしい光景で、若かりし頃の自分を重ねてしまいました。

